妖怪道中旅日記~東日本編~7日目

栃木県は那須高原にある「殺生石」を後にした僕は、そのまま北上し、能で有名な「黒塚」へと向かいました。そこで見たものとは一体!?


そして、関西から始まった旅はいよいよ岩手県目前!

宮城県で「鬼」を見た!


昨日7日目のようすをどうぞ!


黒塚の鬼婆、無念の想い!の巻

黒塚とは、福島県の二本松市にある、鬼婆を葬ったとされる場所のことを指すのですが、別名「安達ヶ原」でも有名ですよね。


鬼婆って言葉はよく耳にしますが、実際にいたとされる鬼婆とは、一体どんなお婆さんだったのでしょうか。

鳥山石燕「黒塚」

江戸時代の有名な画家である鳥山石燕も画図百鬼夜行の中で「黒塚」の題名で鬼婆の姿を描いていますが、この絵を見ると何やら食べています。


よく見てみると分かるのですが、そう。

この鬼婆、人間を食べているのです。


鬼婆とは、ある岩屋に隠れ住み、側を通る旅人を食い殺す、正に殺人「鬼」だったのです。


そんな鬼婆が眠る墓と、彼女が隠れ住んだとされる岩屋が実際にあるということなので、恐る恐る行って来ました。

見よ!これが黒塚だ!の巻

まずは岩屋がある「観世寺」に訪れました。

宝物館もあり、入園料400円を支払い、中へ。


すると早速ありました。

巨大な石が積み重なって出来た、鬼婆が隠れ住んだとされる「岩屋」。

お寺の境内には似つかわしくない、異様な光景。


本当にここに鬼婆が隠れていてもおかしくなく、恐怖さえ感じました。


この「宝物資料館」では、ご住職が音声テープをかけてくださり、鬼婆の伝説や、展示されている品々の説明を聞くことができます。


館内は写真撮影禁止とのこと。

鬼婆伝説を描いた掛け軸や、妖怪好きなら一度は本で見たことのある絵もここにありましたよ。


実際に黒塚から出土した包丁や鍋なども展示されており、鬼婆の話が単なる伝説では無いということを物語っていました。 

境内には、岩屋や宝物館の他にも、鬼婆が包丁を洗ったとされる血の池や、鬼婆の像などもあり、見ごたえ充分。


肝心の黒塚はというと、お寺の外、すぐ側にあるとのこと。


「奥州 安達ヶ原 黒塚」

ここが黒塚、鬼婆が葬られたとされる場所!


土がこんもりしてる上に大きな松ノ木。

これ何も知らない人が見ると何のこっちゃ分からないだろうな。


鬼婆が誕生した背景を知ると、また違った見方ができます。

そもそも「鬼婆」とは?

鬼婆は、元から「鬼婆」だったのではありません。「岩手」という名前の普通のお婆さんでした。


以下、簡単なあらすじ。


お婆さんは京都の公卿屋敷で、姫を手塩にかけて育てていました。お婆さんには一人娘がいたのですが、娘が幼い頃に何らかの理由で離ればなれになってしまい、この娘を自分の娘のように可愛がりました。


しかし姫は重い病気にかかってしまいます。

易者に占ってもらったところ、「妊婦の生き肝をのませれば治る」という占い結果。


岩手は生き肝を求めて旅に出たのですが、妊婦の生き肝など簡単に手にはいるはずもなく、いつしかこの安達ケ原の岩屋までたどり着きました。


そこでこの岩屋に隠れて、側を通りかかった旅人を襲うことにしたのです。


しばらくすると、二人の旅人が宿を求めてやってきました。どうやら夫婦のようです。


お婆さんは、上手く誘い込みます。

夫婦の名は、生駒之助・恋衣(こいぎぬ)と言いました。

恋衣はどうやら妊婦のようで、産気づきます。


婆を探しにでかける夫。

お婆さんはこれはチャンスだと、恋衣を包丁で殺してしまいます。

月岡芳年

しかし、その時、恋衣の着物から見覚えのある御守りが。


これは!!


お婆さんは驚きます。

この御守り、自分が幼い娘に持たせたものと同じものだったからです。

恋衣は、幼い頃に別れた自分の母親を探して旅をしていたのです。


自分の娘を殺めてしまった!

婆さんは、悲しみと後悔のあまり、鬼と化してしまいます。

鬼になったお婆さん、もう意味もなくただ旅人を捕まえては殺す、まさに鬼となってしまうのでした。


こうして、「安達ヶ原には鬼婆が出る」という噂が広がり、鬼婆伝説が生まれたのでした。


この悲しい物語を知った上で、もう一度黒塚を見ると、また違った想いが沸き出ることでしょう。


黒塚はこの旅で見てきた他の妖怪スポットとは、また一味違った場所だと感じました。

ここにも「夜泣き石」がありました。

日本全国にこういう石はあるみたいですね。


鬼婆伝説を肌と目で感じた僕は、近くにあった御食事処でおそばをいただき、いよいよゴール地点・遠野市がある、岩手県へと向かったのでした!

「安達ヶ原ふるさと村」にて、おそば。

天ぷらサクサク美味でした。

宮城県突入!鬼のミイラ!の巻

岩手県に入る前に、手前の宮城県で訪れたいところがあったので、向かいました。


宮城県「村田町歴史みらい館」です。

ここで見たいものはただ一つ。

「鬼の頭と腕のミイラ」それだけです。


入館は無料。ここもずっと来たかった場所だ。村田町の歴史を学べる民俗資料館なのですが、その展示物の中にポツンとそれは現れました。

どストレートに「鬼」の文字!

この箱の中に鬼のミイラがあるのか!


…写真撮影してもいいか分からなかったので、見たときの僕のリアクションだけをお楽しみ下さい。



この二人が驚くぐらいに、ぼかぁ驚いたよ。

なんたって、その顔の迫力。圧倒された。


宮城県はもう一ヶ所、二ヵ所訪れた場所があるのですが、妖怪とは関係ないため、割愛。

またいずれ番外編として書いていきます。


この後、東日本大震災の被災地付近を走ってから、車中泊をするため「あ・ら・伊達な道の駅」(ふざけてませんよ)へ。


7日目を終えたのでした。